議会基本条例をめぐる状況②
1 結婚のスピーチと議会基本条例
連載第2回目は、議会基本条例を定めるに当たって、又は定めたならば「覚悟しなければならないこと」をお話ししたいと思います。
若い頃、結婚式に参加すると疑問に感じることがありました。スピーチに立つ先輩方が、祝福のなかにも前途の多難を予感させる話をすることでした。「結婚生活で一番大事なことは寛容さです」とか「結婚はゴールではない。2人での人生というマラソンは始まったばかりなのです」などと…。「どうして、思い切りハッピーな話をして祝福してあげないのだろう」といつも思っていたのです。しかし、結婚生活も長くなり、その意味がようやく分かってきました。
議会基本条例を定めるということも少し結婚と似たところがあります。一生懸命、苦労してようやく議会基本条例にたどり着くわけですが、それはゴールではなく、議会改革というマラソンのスタートなのかもしれません。
⑴議会の例規の世界
「パンドラの箱を開けた」などという表現がありますが、まず、議会基本条例を制定することは議会に関する例規についてのパンドラの箱を開けることを意味します。ピンとこないかもしれませんが、議会には、執行部とは異なった例規の世界があります。傍聴に関するルールを定めた傍聴規則のほか、メリットとデメリットを示して、それらをまとめると表(次頁上段の表を参照)のようになるでしょうか。
ただ、実際には表に挙げた以外にも、ルールとしての「申合せ」があります。また、議会によっては、議会での事項を対象とする政策条例(たとえば、議員の資産公開条例や議会の個人情報保護条例など)の細部を定める「議会規則」を定めているところがあります。議会規則というのは聞き慣れないかもしれませんが、それもそのはずです。地方自治法に根拠があるわけではありません。ただ、議会での事項を対象とする条例の施行規則について首長に丸投げする違和感もあり、じわじわと制定が進んでいるものなのです。