一問一答方式の導入と反問権
1 一問一答方式の導入
⑴一般質問が注目される理由
一般質問に関心が集まっています。「△△議会は一般質問の時間が短い」とか、「〇〇議員は在職中、一般質問を一度もしていない」などと話題に上ることも多くなりました。一般質問こそが議会が活発かどうかのバロメーターのように伝えられます。
一般質問に注目が集まることはよく分かります。知事や市町村長に直接、行政の在り方をただす、つまり、行政の監視機能を目に見える形で発揮することができるからです。説明の必要もないと思いますが、一般質問は、「質問」であるために、本会議での「質疑」ではできないことが可能となります。
「一般質問」のいいところは、議題にとらわれないところです。また、自分の意見を述べることも許されます。つまり、関心がある案件について、自分の意見を述べつつ、執行部に説明や所見を求めることができるのです。しかも、委員会では部長が対応するところを市町村長などの対応になったりするのですから、一般質問は議員の見識をアピールできるまたとない機会となります。たとえて言うなら、自分のペースで一方的に技を繰り出せるプロレスのようなものです。相手(執行部側)がロープにのがれたり、ヒーヒー言ったりすると議員の強さが際立ちます。議員が一生懸命、時間をかけて準備して取り組むのも納得ができます。
ただ、「見せ場」のためだけに使うのはもったいないです。そこで、行政監視機能や政策提案機能との関係でその内容や方法を効果的に行おうとする動きが出ています。従来の「一括質問・一括答弁(一括方式)」に代えて、「一問一答方式」を導入する動きもそのひとつといえます。
〇栗山町議会基本条例(町長等と議会及び議員の関係)
第5条
議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
2 議長から本会議及び常任
委員会、特別委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
一問一答方式の良さは「論点、争点を明確」にすることです。一括方式だと、いくつかの論点をまとめて質問して、それにまとめて答えるわけですから、答えたくない部分をごまかしたり、はぐらかして答えるということが可能となります。いいえ、一括方式でも「ごまかし」や「はぐらかし」の答弁は認められないはずですが、「ごまかし」や「はぐらかし」が目立たなくなるといった方がいいでしょうか。ただ、「議論が嚙み合う」ことがないと、聞いている住民にはストレスがたまります。また、議員からしても、争点さえ明確にならなければ、いくら時間を費やしても行政を変える力にはなりません。一問一答方式を導入する趣旨はそこにあります。
⑵個々の議員のスキルを高める
ただ、一問一答方式を導入したからといって、問題がすべて解決するわけではありません。一問一答方式を導入しても、事業の実績などのデータを質問するだけでは意味がありません。また、執行部とのやりとりなしで自らの主張をするばかりでもそうでしょう。「争点、論点を明確にする」ということを意識して行わなければ意味がないのです。一問一答方式を導入しながら、それを活かすアプローチができていないと、住民は議員に「やきもき」するようになります。
また、答えにくい問題には、当然、執行部は逃げまわるわけですから、再質問、再々質問で、論点を絞って核心に迫ってゆくことが求められます。しかし、再質問、再々質問の技術が不十分な議員も見受けられます。議論が拡散してしまったり、逆に細かい「小路」に入り込んで、「何がいいたかったのか」分からなくなってしまうような場合も見受けられます。また、時間配分を間違って、論点に迫れない場合もないとはいえません。
一問一答方式は、魔法の質問方式ではなく、それぞれの議員のスキルによって支えられている部分もあります。導入したのなら、議員全員で質問スキルを高める努力が必要になります。