ー信頼できる議会を目指して② 住民とともに歩む議会
⑴ 独り占め」を求める人
私はダメ公務員でした。いまさら、なぜ、そんな告白をするかというと…。そんな仕事のできない私から見ても、仕事上の評価がパッとしない人はいるもので、そうした人はいくつかの特徴を持っていたように思います(もちろん、人間として魅力や評価は別です)。
私より上の世代で多いのが「情報の独り占め」です。こうした人は、自分だけが情報を手にして、有利に仕事をすすめようとします。こうした人にとってのアドバンスは判断力でも、行動力でも、調整力でもなく、情報力のみであり、総合的な実力が養われず、ポストが上がれば上がるほど、情報を囲い込んで地位を確保しようとします。自分より上位の人にはその大事な情報を伝えてアピールし、自分よりポストが下の人には「俺は聞いてないぞ」というセリフで情報の提供を強要します。でも、情報の本来的な使い方には大きな関心を払いません。
その昔、行政が国民(住民)や民間企業に有しているアドバンスは行政が蓄積する情報でした。しかし、それもオープンガバメントなどの動きのなかで過去のものになりつつあります。ただ、議員のなかには、まだまだ「俺は聞いてないぞ」タイプが存在するようです。
住民より先になぜ我々に知らせないのか」、「なぜ、住民への情報と大差がないのか」。今日もどこかで、根回しに出掛けた職員が議員にこう叱責されていることでしょう。叱られないためには「議員にだけは先にお伝えしておこうと思いまして」と冒頭に述べるとか、「議員用説明資料」と表紙に目立つように書く周到さが求められます。しかし、こうした議員に期待できるものは少ないように感じています。
⑵ 住民との情報の共有」の意味
先月号では、議員どうしで同じ情報をベースにすることが議会としての意思決定に向けて大切だといいましたが、私は住民も含めて基本的な情報は同じであっていいと考えています。そもそも、議員の議論の対象は同僚議員ばかりではありません。当然、住民だってその対象です。住民も、議会の情報を踏まえて、議会にはない情報を提供してくれるかもしれません。必要な情報は「一人で抱え込む」のではなく「議会で共有する」のが重要で、さらに「議会だけで共有する」ではなく「住民と共有する」のが、議会基本条例の定める「住民との情報の共有」の意味です。
議員は特別な情報や資料を持っているから判断できるのではありません。プロとして情報の意味を知っているからこそ、それを踏まえた判断の選択肢を住民に示すことができるのです。そうしたプロの判断をした結果、ときには住民の声と異なる判断を議会がするかもしれません。そんなとき、もし、議会と住民との間でベースとなる情報が異なっていたらどうでしょう。