ー傍聴規則の整備(最終回)
1 厨房が片付いていない料理店は…
議会基本条例の制定に伴う例規の整備ということで、傍聴規則にも触れておこうと思います。傍聴規則は、地方自治法130条3項で議長が定めるべきものとして規定されています。ところが、あまり世間の注目を浴びることがないからでしょうか。手入れが十分ではありません。厨房が片付いていない料理店に名店はありません。屋根裏や軒下に建築時のゴミを残してゆく工務店では名工は育ちません。議会基本条例ほど目立たないかもしれませんが、傍聴規則は議会基本条例の理念を支える大事な例規です。議会としても、ひとりひとりの議員としてもその内容に関心を持ちたいものです。
2 改正忘れの手当
長い間、法改正などの反映がされていない傍聴規則が見受けられます。まず題名です。いまだに「傍聴人取締規則」としている議会が残っています。すぐに「傍聴規則」に改めましょう。たしかに、制定時の地方自治法では「傍聴人の取締に関し必要な規則を設けなければならない」とありました。傍聴規則の根拠は地方自治法の「紀律」の章に規定されています。ルールの本質としては、議会内の秩序維持にあるわけですから「取締り」の文字もあながち間違いとはいえません。しかし、「傍聴規則」に改めましょう。「傍聴人取締規則」では、住民にけんかを売っているようなものです。「貴様!」と呼び掛けて「貴い様なんだから、決して軽んじていない」と言い訳しても通じないはずです。それと同じです。地方自治法は平成18年改正で「傍聴人の取締」という表現を改めています。すでに10年以上が経過しています。
次に「傍聴席に入ることはできない者」の規定です。「精神に異常があると認められる者」をまだ規定しているなら削除しましょう。すいぶん前に、各標準傍聴規則からも削除されています。
詳細は地方議会人7月号で解説していきます。
→地方議会人7月号の詳細はコチラをクリック願います
Web版教養講座「議会基本条例を議会に活かす・住民に活かす」バックナンバー
連載第1回 議会基本条例をめぐる状況①
連載第2回 議会基本条例をめぐる状況②
連載第3回 住民とつながる①
連載第4回 住民とつながる②
連載第5回 議決責任など
連載第6回 一問一答方式の導入と反問権
連載第7回 行政監視から政策提案へ①
連載第8回 行政監視から政策提案へ②- 政務活動費を生かす
連載第9回 行政監視から政策提案へ③ 政務活動費を生かす2
連載第10回 行政監視から政策提案へ④
連載第11回 信頼できる議会を目指して① 議事機関としての議会
連載第12回 信頼できる議会を目指して② 住民とともに歩む議会
連載第13回 会議規則の整備①
連載第14回 会議規則の整備②
連載第15回 傍聴規則の整備