全国の地方議会でハラスメント防止の取組みが急速に広がっています。これまで議員や職員のハラスメント防止等の条例を制定した地方議会は52、そのうち令和5年と6年に制定された条例は半数以上の28にのぼります(地方自治研究機構調べ、2024年3月末現在)。この事実は、地方議会や自治体に限らず、日本の社会全体が「ハラスメントをしてはならない」という明確な認識を持ちつつある証明といえるのかもしれません。今月号では、「ハラスメント撲滅宣言」に全議員が署名した議会、産前・産後や育児休業や介護などに関するハラスメントを禁じた議会、実態を明らかにするため全職員へのアンケートを実施した議会、票ハラ防止へ研修会を実施した議会などの事例を交え、地方議会におけるハラスメント対策はどうあるべきかを考察していきます。
7月号特集:ハラスメントのない議会へ
巻頭言 三浦まり(上智大学法学部教授)
議会ハラスメントの防止に向けて
① 特集
ハラスメント防止・根絶の意思表明とルールの明確化 条例制定の意義と課題
井上源三(一般財団法人地方自治研究機構 (RLIG) 顧問)
議会におけるハラスメント対策 議員と候補者に対するセクシュアルハラスメントと妊娠・出産に関するハラスメントの防止義務
内藤 忍(労働政策研究・研修機構副主任研究員)
職員に対するハラスメント根絶に向けて
高嶋直人(一般社団法人公務員研修協会代表理事)
有権者からのハラスメントの実態
濵田真里(Stand by Women代表/一般社団法人ジェンダー総合研究所)
② 現地報告
静岡県静岡市
全議員が「ハラスメント撲滅宣言」に署名! 宣言はゴールではなくスタート
井上恒彌(静岡県静岡市議会議員)
福岡県築上町
女性議員の意見がカギとなるハラスメント根絶条例を制定 産前・産後休暇、育児休業、介護に関するハラスメントもNO!
塩田文男(福岡県築上町議会議長)
千葉県柏市
会派の枠を超えて決めたハラスメント防止条例 市民サービス向上実現のために
円谷憲人(千葉県柏市議会議長)
北海道十勝管内
「票ハラ」「セクハラ」に悩む議員のために研修会開催
横山明美(北海道帯広市議会議長)
③ シリーズ 地方議会が向き合うべき新たな課題への対応
議会広報活動で押さえておきたい法律上のポイント【前編】
玉置菜々子(弁護士)
④ 連載
教養講座 議会のデジタル化をはじめてみよう!
長内紳悟(一般社団法人地方公共団体政策支援機構 代表)
第4回 デジタルが開かれた議会を実現する
議員研修講座 シリーズ 女性議員はどうすれば増えるのか
川久保皆実(茨城県つくば市議会議員)
シリーズ第34回 多様な当事者の声を政治の世界へ 新しいスタイルの選挙運動を提唱
地方議会最前線 ──「開かれた議会」を創る(リレー連載)
江藤俊昭(町村議会特別表彰審査委員/大正大学教授)
第4回 【町村議会特別表彰団体の事績】北海道芽室町議会 「住民に開かれ、分かりやすく、活動する議会」をめざして
職員研修講座 地方議会事務局Q&A 議員をサポートする秘訣を教えます
吉田利宏(議会事務局実務研究会 議会アドバイザー)
第4回 議会のバリアフリー
随想 地方議会について考えたこと
三浦正士(長野県立大学グローバルマネジメント学部講師)
シリーズ 第40回 議会における討議の活性化と首長の「執行権」
⑤ 広報・研修資料
議会広報紙を見やすく、わかりやすく
長岡光弘(グラフィックデザイナー)
読者の目を導く区分表現のレイアウト
⑥ 議会人の声 「月刊 地方議会人」に想う 第15回
「議席は市民のもの」という理念を胸に刻み、議会改革に取り組む!
中島達也(岐阜県下呂市議会議長)
⑦ 議長会ニュース
全国市議会議長会・全国町村議会議長会