ふるさと納税は、地方税法に定められた「地方公共団体への寄附に係る住民税の税額控除」制度です。創設された趣旨は、「ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し、若しくは応援する気持ちを伝え、又は税の使い途を自らの意思で決めることを可能とすること」です。地方団体にとって追加財源の収集策になり得るため、過度な寄附集め競争が生じた時期がありました。そうなると、地方団体にとっては「税金の奪い合いのツール」、納税者にとっては「節税のツール」になってしまい、ひいては制度の存在意義が薄れる事態に至ってしまいます。制度の存続のためにも「ふるさとへの感謝」「被災地や過疎地の応援」「使い途への共感」などを体現する仕組みとして、趣旨に沿った活用の定着が望まれます。今月号では「ふるさと納税」に焦点をあてて、様々な識者や現地報告を通して検証・解説します。
10月号特集:ふるさと納税を考える
巻頭言 田中里沙(事業構想大学院大学学長)
ふるさと納税の光と影 ―制度の理念に基づく今後の展開をどう考えるか
① 特集
ふるさと納税の現在、そして未来
川窪俊広(総務省大臣官房審議官 税務担当)
「ふるさと納税」について
金井利之(東京大学法学部・大学院 法学政治学研究科 教授)
ふるさと納税における返礼品の功罪と問題点
土屋仁美(金沢星稜大学経済学部 准教授)
② 現地報告
北海道夕張市
破綻からの地域再生の切り札、ふるさと納税
厚谷 司(北海道夕張市市長)
東京都世田谷区
特別区が体験した「ふるさと納税」~これまで、そしてこれから~
保坂展人(東京都世田谷区区長)
長野県青木村
村の再生に挑む 企業版ふるさと納税
北村政夫(長野県青木村村長)
③ 時流観望
「ポスト菅」は岸田氏、 新政権は“安倍・麻生シフト”に =「11・7」衆院選で与野党激突へ=
泉 宏(政治ジャーナリスト)
④ 連載
教養講座 地方議会人のための予算・決算入門 ー議会の監視・政策提言力を高めよう
佐藤綾子(富山国際大学 教授)
第6回 決算審査の重要性と議会に求められる視点
議会運営講座 ポイント別でわかりやすい! 地方議会・議員の基礎知識
鵜沼信二(元全国都道府県議会議長会 事務局次長)
第10回 懲罰と処分要求
新連載 議員研修講座 シリーズ 女性議員はどうすれば増えるのか
久坂くにえ(鎌倉市議会 議会運営委員会委員長)
シリーズ第1回 女性議員をとりまく困難
変える議会、変わる議会 ―改革はどこまで進んだか
人羅 格(毎日新聞論説委員)
第7回 「対話する議会」へ挑戦重ね、談論風発の気風を培う=宮城県柴田町議会(上)=
随想 地方議会について考えたこと
板垣勝彦(横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院 准教授)
シリーズ 第7回 議員の出席停止処分の意味
⑤ 市町村議会広報クリニック
芳野政明(広報コンサルタント)
いたばし区議会だより(東京都会板橋区議会)
議会だより たかもり(長野県高森町議会)
議会だより かつらぎ(和歌山県かつらぎ町議会)