ー会議規則の整備①
1 議会例規の手当の必要性
終わりそうで終わらないもの。「上司の下手なカラオケ」、「花粉症の季節」、「通信学習講座の今だけキャンペーン」、それに加えて、「議会基本条例を議会に活かす・住民に活かすの連載」……。なんていわれそうです。12回の連載を終えたわけですが、おまけとして、今月から3回に渡り、議会基本条例の規定事項をどう議会例規に反映するか、会議規則を中心にその具体例を紹介していこうと思います。
終わりそうで終わらないもの。実は、その最たるものは議会改革なのかもしれません。議会によっては、レジェンド議員現れて華々しい改革を実現するところもあります。しかし、多くの議員に支えられない改革は、すぐに萎んでしまいます。注目の条例もそれを支える議会例規などの整備がなされないと、改革の火は消えてしまいます。議会改革は息の長いものでなければその実を上げることができません。それぞれの議会が長く積み上げてきた歴史を変える作業でもあるからです。議会基本条例の制定が議会の生まれ変わり宣言なら、次なるステージは議会例規での位置付けです。お試し的な運用なら規程や申合せで対応してもいいでしょう。しかし、新たな議会の歴史を作るなら会議規則などの改正を考えるべきです。標準例規から外れ未知の一歩を踏み出すことになるかもしれませんが、議会の輝かしい歴史につながる一歩をこの連載がお手伝いできるなら幸せです。
2 会議規則の改正の意味
まずは会議規則の改正です。「議会の議決だけでできるのでハードルが低い」と思われがちですが、議会によっては条例以上に大きな問題だったりします。それは会議規則の規定事項についての理解が議会内でまちまちだからです。比較的多い誤解が「会議規則は本会議事項を規定している」というものです。たしかに、委員会については委員会条例があり、規定条項の整理が不十分な面もあります。また、地方自治法の考え方が本会議中心主義を原則としていますので(委員会を中心に審議するなら条例でその意思を示すことが求められています)、委員会を設置しない選択肢もり得る町村では、標準会議規則でそれが反映されている部分もあります。
しかし、会議規則は本会議、委員会を中心とする議会運営のルールです。まず、この点を明らかにしておきましょう。その上で、議会基本条例に規定された事項の運用をすべて会議規則に書き込むべきかというと、それはそうではありません。議会活動には広がりがあるものの、やはりその中心は本会議や委員会での審議や審査などです。会議規則の規定事項は本会議や委員会との「距離」を考えながら規定することになります。早速、標準会議規則の規定順をベースに規定事項を検討してみることにしましょう。