昨年の第20回統一地方選挙では、低投票率の傾向が続く一方で、女性議員の躍進が目立ちました。多様な人材が進んで参加できる地方議会の実現こそ、民主主義の根幹を維持することにつながります。しかし選挙のたびにクローズアップされるさまざまな課題は依然として残されています。なり手不足の解消に結びつく、多様な人材参画のための立候補環境の整備や、有権者のための投票環境の向上など、課題は枚挙にいとまがありません。今月号の特集では、被選挙権年齢引き下げ(テーマ1)、統一地方選の再統一(テーマ2)、制限連記制と大選挙区制(テーマ3)、選挙公報(テーマ4)、多様な人材としての女性と若者(テーマ5)、クオータ制(テーマ6)、選挙へのテクノロジーの導入(テーマ7)など、今後の地方議会選挙を左右する7つの重要な課題を、14名の筆者がそれぞれ取り上げて解説していきます。
9月号特集:「選挙」の課題をめぐって
巻頭言 原田大樹(京都大学大学院法学研究科教授)
多様な民意を反映できる選挙制度への転換を
① 特集
テーマ1)被選挙権年齢引き下げに向けて
被選挙権年齢を18歳に引き下げることが必要な理由
井上岳一(株式会社日本総合研究所創発戦略センターチーフスペシャリスト)
「若い世代」の逸脱行動を問題解決の契機に
西田亮介(日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授)
テーマ2)統一選のあり方を見直す
統一地方選の「再統一」を考える
伊藤俊行(読売新聞編集委員)
テーマ3)住民の真の代表を選ぶために
「制限連記制」で議会を変えよう
大山礼子(駒澤大学名誉教授)
「大選挙区単記非移譲式投票制」の問題
築山宏樹(慶應義塾大学法学部教授)
テーマ4)選挙公報を考える
地方議会の「選挙公報」発行の現状と課題
中村 健(早稲田大学マニフェスト研究所事務局長、大正大学教授/大正大学地域構想研究所副所長)
「選挙公報」を作成し、届け、手に取ってもらうということ
西尾直樹(神奈川県葉山町総務部総務課長兼デジタル推進室長併選挙管理委員会書記長)
テーマ5)女性や若者と選挙
大切なのは、問題意識を持つ女性を議会に送り出すこと
山盛さちえ(女性を議会に!ネットワーク代表、元愛知県豊明市議会議員)
若者が議員になり活躍する議会になろう
木村 聡(岩手県陸前高田市議会議員)
テーマ6)クオータ制導入の可能性について
台湾の地方議会のクオータ制
秋山訓子(朝日新聞編集委員)
韓国の女性クオータ制の経緯と限界
高 選圭(福島学院大学マネジメント学部教授、福島グローバルセンター長)
テーマ7)選挙へのテクノロジーの導入は可能か
電子投票機は過去のものか
武藏勝宏(同志社大学政策学部教授)
カメラ越しに投票所を見守る「オンライン投票立会」の取組
國岡厚志(鳥取県智頭町総務課長)
スーパーシティ型国家戦略特区つくば市が進める投票環境向上に向けた取組
中山秀之(茨城県つくば市政策イノベーション部科学技術戦略課長)
② シリーズ 地方議会が向き合うべき新たな課題への対応
議員報酬の改善に係る課題【前編】 特別職報酬等審議会の壁
飯田 厚(全国町村議会議長会議事調査部長)
③ 連載
教養講座 議会のデジタル化をはじめてみよう!
長内紳悟(一般社団法人地方公共団体政策支援機構 代表)
第6回 現在地の特定と目的地の設定
議員研修講座 シリーズ 女性議員はどうすれば増えるのか
森本恵理子(新潟県小千谷市議会副議長)
シリーズ第36回 声が上げられないほど辛い状況にいる人々に寄り添いたい
地方議会最前線 ──「開かれた議会」を創る(リレー連載)
内貴 滋(町村議会特別表彰審査委員/帝京大学教授・バーミンガム大学名誉フェロー)
第6回 【町村議会特別表彰団体の事績】栃木県那珂川町議会 小さくてもきらりと光る議会へ
職員研修講座 地方議会事務局Q&A 議員をサポートする秘訣を教えます
吉田利宏(議会事務局実務研究会 議会アドバイザー)
第6回 議会の研修テーマを提案する
随想 地方議会について考えたこと
松林哲也(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
シリーズ 第42回 選挙制度改革は投票率に影響を及ぼす!?
④ 広報・研修資料
議会広報紙を見やすく、わかりやすく
芳野政明(広報コンサルタント)
住民・読者の関心を引く一般質問のフォーマット
⑤ 議会人の声 「月刊 地方議会人」に想う 第17回
初志を忘れずに「学ぶ」ことが議会人として必要
目黒章三郎(福島県会津若松市議会元議長)
⑥ 議長会ニュース
全国市議会議長会・全国町村議会議長会