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Web版議員研修講座 「まち・ひと・しごと創生法 第2期戦略 ー市町村議員のためのガイドブック」新連載 第3回

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第3回 「人口減少の克服を実現しつつある事例紹介」

 本連載は「地方創生を実現するために、地方議会議員は具体的に何をすればよいのか?」、また「地方創生を実践するガイド」という2つの視点を持ちます。

 第1期の地方創生を振り返り、第2期の地方創生を成功の軌道に乗せるためのヒントをもとに、読者の皆さんは本連載で示すヒントを深化・進化させていただき、議会での質問や提言に活用していただけると幸いです。

1 本論文の概要

 前回までは、過去の地方創生をマクロ的に振り返りました。今回はミクロの視点から、地方創生を実現した実例を紹介します。

 第1回連載で、地方創生を①人口減少の克服、②地域経済の活性化、の2点があると指摘しました。今回は「人口減少の克服」の観点から事例を紹介します。

2 西条市の「移住」促進の取組み

 西条市(愛媛県)は人口10万人強の自治体です。同市の移住の取組みが注目を集めています。例えば、2018年度の移住者数は、前年度対比で約3倍を達成しています(2017年度は106人、2018年度は289人)。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していますが、過去、移住者を大きく飛躍してきました(なお、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたのは西条市だけではなく、多くの自治体に当てはまります)。

 移住者の増加に貢献したのが、移住体験ツアーです。同ツアーはターゲットを絞っており、移住への意思が強い子育て世代を中心にしています。移住者希望者一人一人(一世帯一世帯)に特化した完全オーダーメイド型になります。しかも交通費・食費・宿泊費は無料です。

 今日、多くの自治体が移住体験ツアーを進めています。その中には料金がかかる場合や、移住希望者を一斉に集めて団体での移動を伴うケースもあります。しかし西条市は無料で、かつオーダーメイド型となっています。多数ある移住ツアーの中でも、西条市は差別化してきました。差別化を基本とした西条市の移住ツアーの成果は、確実にあがっています。また同市の提供する完全オーダーメイド型の良質な移住体験ツアーが口コミで広がることにより、イメージアップという形で市全体に好影響を与えています。

 口コミとは「知人同士を経由し伝播される商品やサービスの情報」と定義できます。近年、民間企業はICT(情報通信技術)の普及と共に、仮想空間(Web)において口コミの拡散に注力しています。そうすることで商品やサービスの購買促進が図られます。これはマーケティング手法が一つであり活発化しています。民間企業に倣って、自治体もよいイメージを創り出すために、口コミを意図的に進めることが重要です。

 しばしば「口コミ」と言われますが、正式な学術用語は「ウィンザー効果」(Windsor Effect)です。ウィンザー効果とは「第三者(他者)を介した情報、噂話のほうが、当事者が直接伝えるよりも影響が大きくなる心理効果」と定義できます。西条市が自ら「西条市はすごいんだ」と言うよりも、移住ツアーに参加した第三者が「西条市ってすごい」と伝えたほうが信ぴょう性は高まります。ちなみにウィンザー効果の語源は、ミステリー小説の台詞に由来していると言われています。アーリーン・ロマノネスのミステリー小説「伯爵夫人はスパイ」の中でウィンザー夫人が、「第三者の褒め言葉がどんなときにも一番効果があるのよ、忘れないでね」と言ったことから、この夫人の名前から名づけられました。

 西条市は口コミを創出するために、情報を効果的に発信してきました。その一つの取組みがシティプロモーションです※1。同市は、移住に関しては東京をターゲットにして、新聞紙やテレビといったメディアを活用しプロモーションを推進してきました。さらに、積極的に東京で開催される移住・交流フェアにも出展しています。東京における西条市に認知度を高めることが移住者の増加につながっています※2。今年度から同市は大阪事務所を「Uターンを促進する拠点」と位置づけました※3。なお、自治体が設置する東京事務所や大阪事務所などは、一般的には政治的要素が大きいため、西条市の取組みは目新しさがあります。

 そのほか移住促進サイト「LIVE IN西条」の開設、関係人口の拡大を狙った「LOVESAIJOファンクラブ」の立ち上げをはじめ、FacebookやInstagramなどのSNSを活用したPRなど多様なツールを活用し、西条市の認知度を高めてきました。

 西条市の「認知度の向上」からの成果を言及すると、2019年度の時点で、公式Facebook「いいね!」数は約6000人となっています。公式インスタグラムフォロワー数は約2800人です。「#LOVESAIJO」投稿数は約1万3000件です※4。このような活動を重ねることにより「第8回住みたい田舎ベストランキング」で西条市が全国第1位となりました※5。

 西条市は地方創生の中で「生き残る」のではなく「勝ち残る」ことを目指しています。そのために積極的な政策展開をしています。今回紹介した移住の取組みに加え、関係人口の獲得、公民連携を基調とした教育改革、起業型地域おこし協力隊など多々あります。これらの詳細は本連載の別の機会に言及したいと思います。

【脚注】
1)西条市のシティプロモーションの目的は「知名度・都市イメージの向上を通じた移住・定住・交流・関係人口の獲得」です(『西条市シティプロモーション戦略』)。

2)マーケティングには「AIDMA(アイドマ)の法則」があります。消費者が商品やサービスなどを認知して、最終的に購入につながるまでの消費活動の仮説です。AIDMAは、「Attention(認知する)」「Interest(興味をもつ)」「Desire(欲しいと感じる)」「Memory(記憶する)」「Action(購入する)」という、それぞれプロセスの頭文字をとっています。「西条市に移住してもらう」というActionを実現するには、「西条市を知ってもらう」というAttentionから始めなくてはいけません。アイドマの法則を基本として、西条市は東京への認知度を高めることにより、移住者を大きく増やしてきました。

3)詳細は、次のURLを確認してください。「関西圏の若者向けUターン等移住者の発掘を目指す拠点として生まれ変わります!」

https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/citypromo/press-osaka-renewal.html

4)西条市の調査によると、シティプロモーション推進事業の金銭的効果は、テレビをはじめとしたメディアに幅広く本市をPRする営業活動を行うことにより、2017年度のテレビへの露出では3億3600万円程度、雑誌掲載では1200万円の試算結果があるとしています。

詳細は地方議会人8月号で解説していきます。

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