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Web版議員研修講座 「まち・ひと・しごと創生法 第2期戦略 ー市町村議員のためのガイドブック」連載 第4回

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第4回 「『ターゲティング』を基調とした人口減少克服事例」

 本連載は「地方創生を実現するために、地方議会議員は具体的に何をすればよいのか?」、また「地方創生を実践するガイド」という2つの視点を持ちます。

 第1期の地方創生を振り返り、第2期の地方創生を成功の軌道に乗せるためのヒントをもとに、読者の皆さんは本連載で示すヒントを深化・進化させていただき、議会での質問や提言に活用していただけると幸いです。

1.転入増加は「引越」と「移住」に分ける

  前回は、地方創生の一手段である人口減少の克服を取り上げました。具体的な事例として、西条市(愛媛県)と東大和市(東京都)を紹介しました。

 引き続き今回も人口減少に対応している事例を紹介します。それは戸田市(埼玉県)です。2015年国勢調査によると、同市は人口増加数では全国第15位であり、人口増加率では全国第7位となりました。

 戸田市を例示すると、しばしば「戸田市は首都圏に位置するから人口が増加するのであり、地方圏の自治体には役立たない」と言われます。確かに、同市は地理的条件の優位性があります。しかし、東京都心の駅(例えば新宿駅)を起点として、同じ距離、同じ通勤時間の自治体の中で、戸田市は圧倒的に人口が増加しています(新宿駅を起点として、戸田市と同じ距離、同じ通勤時間の自治体の中には、人口減少を招いている事例が多くあります)。その意味では、戸田市の政策が人口増加に関して善の効果を創出していると言えます。同市の取組みは、地方圏の自治体にとっても、何かしらのヒントを提供することが可能と考えます。

 人口を維持し増加する一視点は「転入促進」(社会増)です。筆者は転入促進を大きく二通りに分けています。それは、

①近隣市町村の移動である「引越」
②長距離の移動を伴う「移住」

 です。「引越」と「移住」の2パターンに明確化したほうが戦略的です。

 前回紹介した西条市は東京圏にいる人を対象に進めています。それは「移住」の観点になります。今回言及する戸田市は近隣市の移動ですので「引越」です。 

2.  戸田市の「引越」促進の取組み

戸田市の競争戦略

 戸田市は「引越」を意図した転入促進を展開してきました。現在、同市は約14万人まで人口が増えています。10年間で約2万人も人口が拡大しました。人口増加の牽引となった一つがシティプロモーションです。同市のシティプロモーションの定義は「まちの魅力を市内外にアピールし、人や企業に関心を持ってもらうことで、誘致や定着を図り、将来にわたるまちの活力を得ることにつなげる活動」です(『戸田市シティセールス戦略』)。

 同戦略の特長は対象地域を「板橋区と北区」に設定したことです。ターゲット地域を明確にして、効果的な情報発信を進めてきました。特にインターネット広告の活用があります。インターネット広告は、検索情報から利用者の属性や居住地域、嗜好などをある程度特定することができます。

 戸田市は、インターネット広告の利点を活用して、ターゲットに対して市の転入促進ページへの誘導策を導入しています(写真1)。

インターネット広告は「30代」で「東京都内」や「近隣自治体」に住んでおり、引っ越しなどの「不動産関連カテゴリー」を検索している人を対象に広告を表示することができます。なお、最近流行のSDGsの観点で言うと、目標10の「住み続けられるまちづくりを」の達成と言えます。

 戸田市のシティプロモーションは「人や企業を呼び込み、引き留めること」を目標としています。同市は積極的にシティプロモーションを進め、その結果、現時点において、定住人口の獲得を前提とした自治体間競争において勝ち残ってきました。

 一般論として、人口の増加を達成した多くの自治体は、新しい路線の開発や新駅の設置などのハード的な要因が強くあります。しかし、戸田市は新しい路線も新駅もない状態で人口増加を実現してきました。この事実からもシティプロモーションという政策の影響が大きいと推察されます。近年では、戸田市のシティプロモーションは新しいステージに入りつつあります。それが市民の共感を誘発する取組みです。 

戸田市の共感戦略

  近年の戸田市はインナープロモーションに力を入れつつあります。同市におけるインナープロモーションとは「自治体内部の職員に対するシティセールスの浸透だけでなく、市民や事業者などの市内関係者にまちの魅力を訴え、結果として市民の誇り、愛着心の向上につなげていく活動」と定義しています。インナープロモーションは市民の共感を醸成します。

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