質問力で高める議員力・議会力 ー政策議会の一般質問ー
土山希美枝 著(龍谷大学政策学部 教授) 2019年2月発行
本体:2,300円(税・送料別) A5判 214頁
書籍概要:すぐれた一般質問が増えれば、議会が監査機能や政策提案機能を発揮することにつながります。また、すぐれた一般質問を生み出す「質問力」は、「議員力」の核となる力となるのです。 「質問力研修」の研究者である土山希美枝教授が政策提案をともなう一般質問についてわかりやすく解説します。巻末資料として自己評価シート ポイント解説付き!!
書籍項目:
第1章 政策議会とはなにか
1 都市型社会の自治体の役割ー〈政策・制度〉という「信託の成果」
2 都市型社会の議会の役割
3 自治体〈政策・制度〉を誰が制御するか
4 政策議会という視座
第2章 政政策議会と一般質問
1 「たかが」一般質問
(1) 議員としての義務か
(2)モノトリかパフォーマンスか
(3)一般質問は議会改革か
2 「されど」一般質問
(1)「花」としての一般質問
(2)政治家として通ったか議員として通ったか
(3)「花」になるべき「実」はなにか
3 議会の「間接制御」の制度としての一般質問
第3章 なぜ一般質問は機能していないのか ①残念な質問、もったいない質問
1 制度と運用と実態
(1)質問時間
(2)再質問回数
(3)答弁調整の濃度
2 残念な質問、もったいない質問
(1)残念な質問
①確認するだけの質問
②個別要求がすぎる質問
③国の政策で自治体とのかかわりが薄い政策についての質問
④隣の芝生は青い質問
⑤根拠なき批判にとどまる質問
⑥自身の政治信条に終始する質問
⑦いつまでも前置きが終わらない質問
(2)もったいない質問
⑧論点を入れすぎた質問
⑨再質問を重ね筋が逸れた質問
3 なぜそうなるか
(1)なぜ残念なのか
・問題意識を伝えているか
・他市事例をローカライズしているか
(2)なぜ「残念」「もったいない」のか
第4章 なぜ一般質問は機能していないのか ②一般質問の背景にあるもの
1 「議員ひとりの提案」の先がない
(1)ぜんぶ質問が悪いのか
(2)「いい一般質問でも活かされない」は誰得か
2 「行政は間違わない」という相互依存
(1)「政策には正解がない」VS「行政は絶対無謬である」
(2)近代化とオカミと行政
(3)「間違わない行政」への相互依存
3 政策を議論するということ
第5章 一般質問をパワーアップする ①論点を絞る
1 一般質問の論点構造
(1)論点を絞るために
(2)まず、書き出してみよう
(3)整理して論旨を確認しよう
2 優先順位を決め、論点を磨く
(1)強い論点と質問の戦略
(2)その質問で何を問いただすか、目標の設定
(3)「最低ライン」の設定
3 監査機能を発揮するために
(1)監視か監査か
(2)監査機能の重要性
(3)具体的であること、論拠をもつこと
(4)感覚的な評価を投げつけない
(5)論拠を持って「主張」する
(6)文脈を伝える
4 政策提案機能を発揮するために
(1)新しい提案だけが政策提案ではない
(2)政策提案機能を果たす難しさ
(3)政策提案が受け入れられる前提
(4)一般質問の機能が果たされるということ
第6章 一般質問をパワーアップする ②情報を集める
1 「 現場から聴く」重要性
(1)情報が支える「事実」の説得力
(2)市民の〈困りごと〉の現場で〈聴く〉
(3)課題を担う(ことになる)行政の現場で〈聴く〉
(4)〈聴く〉ことでわかること
2 争点情報
(1)争点情報とはなにか
(2)争点情報に役立つ情報源
①新聞記事・記事データベース( 有料)
②国立国会図書館『調査と情報』
③他自治体の一般質問
3 基礎情報
(1)基礎情報とはなにか
(2)基礎情報に役立つ情報源
①政府統計e-stat、都道府県の統計
②地域経済分析システムRESAS
③条例データベースelen、条例Web アーカイブデータベース
4 専門情報
(1)専門情報とはなにか
(2)専門情報に役立つ情報源
①学術論文データベース CiNii
5 情報収集の充実のために
(1)レファレンスを活用した情報収集を
①レファレンス協同データベース
(2)政策情報のためのスタッフを考える
第7章 一般質問をパワーアップする ③登壇の前と後
1 調整をどこまでするか
(1)通告書 読み原稿からワイルドカードまで
(2)答弁調整はなんのためか?
2 質問を伝わりやすくするために
(1)市民や同僚議員が「聞いて分かる」文章を
(2)前置きではなく先に結論を「結論サンドイッチ」
3 登壇から降壇まで
(1)論点整理メモの活用
(2)答弁と再質問
(3)執行部答弁へのお礼は必要か
4 パネルや資料の利用
(1)増えるフリップやパネル、画像資料の利用
(2)傍聴者・視聴者にも伝えるために
5 一般質問のONとOFF
(1)質問内容のフォローアップを
(2)「検討します」はどう追うか
6 「いい一般質問」とは何か
第8章 一般質問を議会のものにする ①ひとりのものでない質問にする
1 質問力と議員力
(1)「めざす議会像」「めざす議員像」の更新
(2)議員に求められる能力
栗山町議会基本条例
会津若松市議会基本条例
(3)「いい一般質問」を行うチカラ
2 質問力を議会力にー「議場ひとりぼっち」にしない方策
(1)現行の制度でできること
①拍手で共感を示す
②議員間連携
(2)制度として軽度の対応が必要なもの
③関連質問
吹田市先例集
④サジェスター制度
第9章 一般質問を議会のものにする ②議会の政策資源にする
1 議員→委員会→議会という政策制御の「議員ルート」
(1)議員の提起を委員会の所管事務調査に
①長野県軽井沢町議会
②奈良県生駒市議会
(2)芽室町「追跡システム」
(3)追跡システムの汎用性を考える
(4)議員間の政策議論の素材に
2 一般質問を議会の政策資源とするシクミの意義と懸念を考える
(1)議員の提起が議会の提起になるということ
(2)議員の争点提起の「場」としての一般質問
第10章 一般質問を議会のものにする ③市民と争点を共有する
1 市民にとっての一般質問
(1)市民の声から一般質問の争点の源にする場面
(2)一般質問の争点を市民にも伝え、共有する場面
①傍聴者に一般質問への理解と関心をうながす資料を
②中継への資料のインポーズ
③いますぐできる、通告書の改善
④議会広報紙というメディアの活用
⑤一般質問の「その後」の追跡
2 議会からの「争点情報」公開がもつ意味
(1)議会の「情報公開」
(2)争点情報を市民と議会で共有するということー市民に「信託」される議会としての関係醸成のために
第11章 市民との「話し合いの場」のデザイン ①「心が折れる議会報告会」を考える
1 市民と議会とが共有できるもの
2 「心が折れる議会報告会」はなぜ再生産されるのか
(1)議会報告会のステレオタイプ
(2)何のための機会かー特徴をふまえ、目的を設定する
3 話し合いの場面をデザインする
(1)そこに来てくれるのはなぜか
(2)争点× 機会が「甲斐」を導く
4 議会だからできる話し合いの場
(1)議論のための機構であることの強み
①議論できる争点のはばひろさ
②設定できる機会の柔軟さ
③争点を市民と共有する機関としての議会
(2)議会と「市民との話し合いの場」
第12章 市民との「話し合いの場」のデザイン ②市民との対話をゆたかにする
1 「話し合いの場」を実りあるものにする普遍ルール
(1)一つの前提
(2)二つの原則、「発話の促進」と「発話の見える化」
(3)それはファシリテーションか
2 発話のハードルを崩し、見える化を進める
(1)発話する前にあるハードル
(2)アイスブレイクの手法
(3)見える化がもつ多様な効果
3 「やってよかった」議会報告会のために
(1)今でもできる工夫
(2)「どんな参加者が、どんな思いで来てくれているか」を紹介しよう
(3)質疑応答の前に、書いてもらう
(4)Yes/No から聴いてみる
(5)少人数なら発話しやすい
(6)「議員」をもっと見せよう
(7)アンケートもいいが共有を
4 議会だからできる話し合いの場
(1)多様な話し合いの手法
(2)ワークショップ、ワールドカフェ
(3)沖縄式(課題共有型)地域円卓会議
(4)話し合いの道具たち
(5)「争点」と「機会」のデザインにむけて
第13章 政策議会と一般質問をめぐる質問に答える
1 一般質問の力を伸ばすには
(1)一般質問をの力とはどんな力か
①争点を発見する力
②情報収集し調査分析する力
③論理的に構成する力
(2)どうやって力をつけるか
2 議会基本条例をどうしていくか
(1)制定のあとどうするか
(2)「共通の関心事」にできるか
3 会派と首長与野党をどう見るか
(1)政治と数と集合をどう考えるか
(2)市民と会派に信託しているか
(3)会派のできないことはなにか
岩手県議会基本条例
(4)議会に与党と野党はあるか
終章 政策議会は可能か
1 議会はかわれるか
2 政策資源ルートの整備
3 「議会の成果」主義
4 議会の「話し合い」─政策議会は可能か
おわりに
巻末資料
たかが一般質問、されど一般質問 ~質問力を議会改革に活かすために~ 自己評価ノート(付録)